浅田真央と水蜜桃

 浅田真央選手・高橋大輔選手を中心に、
 フィギュアスケートの動画を紹介するブログです。
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浅田真央、“ジャンプミス”連発でも優勝の真相

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浅田真央、“ジャンプミス”連発でも優勝の真相
技術と演技に見た新たな可能性


■浅田真央のターニングポイントの試合

ジャンプでミスを連発したものの優勝した浅田真央。今大会の演技が新生・浅田のターニングポイントとなりそうだ【坂本清】 キス&クライで肩を落として点数を見守る浅田真央。グランプリ(GP)シリーズ6戦目のNHK杯、フリースケーティングは、ジャンプ7つのうち4つでミスをし、散々の内容だった。
「自分の演技の出来の悪さにがっくりしていて、得点も順位もまったく考えていませんでした」

 鈴木明子は、フリーで次々とジャンプを決めて勢いのある演技を披露し、観客はスタンディングオベーション。その残像が残るなか、浅田がミスを連発したことで、多くの観客が鈴木の優勝を予想していた。むしろ浅田が2位にとどまることができるのか、不安に思った人もいただろう。

 すると、浅田のフリーの得点は117.32点で2位、総合では鈴木を0.05点差でかわし、185.27点で優勝した。会場はざわついた。浅田も言う。
「優勝と出て、ちょっとポカーンとしました」
 これは不正採点や採点ミスという類のものではない。今季の浅田が「ジャンプに頼らずに高得点を狙えるタイプ」へとシフトしたことを証明する、ターニングポイントの試合だったのだ。


■ミスしたジャンプへの加点は「実行されたジャンプを評価」

 ではなぜジャンプで4つもミスをした演技が、117.32点という高得点だったのか。これは採点方法と照らし合わせると、減点が最小限にとどめられた理由が分かる。それは(1)ミスしたジャンプで加点された(2)ミスしても演技が途切れなかった――という2点だ。

 まず今回の浅田は、3回転ループや3回転フリップを予定していたものが、2回転になってしまった。多くのケースでは、コントロールを失って軸がブレてしまい2回転になるので、明確なミスとして「出来ばえ(GOE)」は減点される。しかし、今回の浅田は、2回転ループで「+0.26」、2回転フリップで「+0.09」の加点をもらった。
 この理由を、元国際スケート連盟(ISU)ジャッジの杉田秀男氏はこう説明する。
「そもそも、ジャッジが『これは3回転をやる予定だ』と思い込んで見て2回転だったから減点という採点方法ではない。あくまでも実行されたジャンプそのものを評価する。そうなると、2回転であっても軸がブレずにコントロールされていれば、プラス評価することはあり得る

 確かに、「真央なら3回転するはずだ」と思い込んで見るのは、ジャッジとしては偏った視点だ。ジャッジの「ジャンプの減点ガイドライン」には、踏み切りや着氷については細かく減点が記されているが、「3回転の予定が2回転になったから減点」という文言は、当然存在しない。
 結果として浅田は、ミスした4つのジャンプのうち2つをクリーンに降りたことで、「出来ばえ」に加点をもらった。


 
■佐藤コーチ理想のスケートへ、真央「手応えを感じている」

優勝には「ポカーンとした」という浅田だが、佐藤コーチとの取り組みには手応えを感じているという【坂本清】 次に「ミスしても演技が途切れなかった」ことが高得点につながった。一般的には、ジャンプで転倒があると、予定していた細かなステップをタイムロスのために省いたり、せっかく醸し出していた世界観が途切れて我に返ってしまったりする。そのため「ジャンプ転倒=演技力の点数に影響」ということは、採点方法に明記はされていないものの、ジャッジセミナーでは指導されている。

 しかし今回の浅田は、転倒や着氷のミスは一切なかった。むしろジャンプ全体のスピードは昨季よりもあり、着氷後もスーっと後ろに流れていくような質の高いものだった。そのため、ジャンプミスによって演技構成点が下がる、という図式にはあてはまらなかったのだ。

 佐藤信夫コーチは言う。
「とにかくスピードをつけて、大きく立派なジャンプを跳ばせようと思っています。だんだんスピードが出てくると、今度はちょっとした狂いが(空中での)ブレになる。スピードを出した中でのジャンプは、良かったり悪かったりです
 今はスピードのあるジャンプへと磨き上げている過渡期。ジャンプの成功はならなかったが、スピードを出して質を高めようとしたという面を評価し、佐藤コーチは納得の表情でうなずいた。

 ジャンプミスによる演技構成点への影響が少ないとなれば、あとは披露した演技そのものへの評価が勝負になる。そして浅田は、気持ちが途切れることなく最後まで集中し、練習通りの滑りを見せた。今季のフリーは、言わずと知れたバレエの名曲「白鳥の湖」。黒鳥の32回転のグラン・フェッテの場面では、グラン・フェッテを連想させる高速ツイズル(回転)の連続で、曲想を見事に表現するなど、見どころの多い演技内容だった。
「スケートを基礎からやり直した成果です。演技では、1つ1つ音を外さないように徹底してきたので、それが評価されたと思います」と佐藤コーチ。浅田も「フリーはしっかり練習してきてプログラム全体が体に染みついている。練習ではすごく良い状態になっていました。あれ(失敗)だけでなく、滑り全体を見ての評価なんだと思います」と話し、演技全体を踊りきるという面では、かなり完成度が高い状態まで来ているという。
 結果として、「スケート技術」「演技力」「音楽表現」の3項目で、8点台という高評価を得て、演技構成点の64.54点は全選手でトップの評価だった。浅田は振り返る。
「信夫先生の所に行ってから、スケーティングから直したし、ジャンプも新しいフォームからの指導だったので苦労しました。でもちょっとずつ良くなっている。今ようやく、滑りにもジャンプにも手応えを感じているんです。練習の方向性は合っている、そう思います」

 その手応えは、ジャンプだけに頼らずに高得点を狙える、佐藤コーチが目指す理想のスケートに他ならない。


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■鈴木明子、素晴らしい演技で観客を魅了

0.05点差での2位だったが観客への印象は優勝に値した鈴木明子【坂本清】 ひとつ付け足すとすれば、鈴木の演技も素晴らしかった。鈴木自身が曲を選んだという、シルク・ド・ソレイユの「オー」は、伸びやかさとスピード感が溢れる滑りだった。観客には「ノーミス」に見えたほどの演技だが、「ルッツのエッジが不明確」が2つと、「ループの回転不足(アンダーローテーション)」により、3点以上失っている。0.05点差での2位ということを考えれば、観客への印象としては、優勝に十分値する演技だった。

 フィギュアスケートは、非常に細かい採点基準により評価される。ち密な戦略、高い技術と、感動を与える演技――さまざまな要素が絡み合いながらも、しかし最後に言い渡されるのは、順位というたった1つの数字だ。
 だからこそ。順位を見て、あれこれ論議するよりも大切なことがある。3年かけてスランプを抜けようと努力している浅田と、歳月をかけて徐々に進化してきた鈴木。その両者に、同じだけ大きな拍手を送ることだ。

(スポーツナビ 2012.11.26)


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男女でNHK杯を上位独占した日本勢。GPファイナルは男子6人中4人進出!


スコアと総合1位という順位が掲示板に出ると、キス&クライに座っていた羽生結弦はほっとしたように空を仰いで、こぼれるような笑顔を見せた。

5週間前のスケートアメリカで2位に終った後、NHK杯ではどんな演技を見せたいかと聞くと、こう答えた。

「やはり地元(宮城)なので、笑っていたいです。悔しい表情とかではなく」

その願い通り、盛大な応援の中で初のNHK杯タイトルを手にした。フリーでは転倒もあったものの、SPではスケートアメリカで出した歴代最高スコアをさらに更新。ジャンプのキレ、スケーティングの質、そして表現力などどれ一つとっても昨シーズンから比べて、恐ろしいまでの成長振りである。

「地元だからこそ、あれだけの力が出せた。1位でファイナルに行けるという喜びは大きいです」

会見でそうコメントした羽生は、男子5人目のGPファイナルスポットを手にした。残った一つは2位だった高橋大輔のものに。これでGPファイナル進出の顔ぶれが出揃い、男子は町田樹、小塚崇彦、そしてここで羽生、高橋が進出を決めて男子6人中4人が日本人という過去最多の結果となった。


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■GPファイナルで3度目の五輪会場に向かうことになった高橋大輔。

中国杯に続いてここでも2位という結果に終った高橋。

「(優勝を逃したことは)悔しいですが、これからそれをバネにして練習に生かしていければ。自分でも自分の成長を疑うこともありますが、これからも成長していきたい」

フリーは中国杯より、ずっと調子が上がってきて冒頭の4回転も成功した。それでも2度転倒のあった羽生に敗れたのは、ショックでもあったことだろう。

「下の世代の成長がすごいけど、取り残されないように。着実にやっていくことが大事だと思っています」

だが26歳になり、すでに五輪メダルも世界タイトルも手にしている高橋にとって、毎試合ずっと連勝することが重要なわけではない。今の彼にとって大切なことは、ソチ五輪という大きな目的に向かっての積み重ねだけである。その意味において、五輪会場で行われるGPファイナルに進出したことに大きな意義がある。3回目の五輪へ挑戦するために、必ず何かをつかんでくることだろう。


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■名匠の振り付けで今季SP女子最高点を出した浅田真央。

一方女子も、予想通りトップ2スポットを日本選手が独占。優勝した浅田真央、2位となった鈴木明子とも、GPファイナル進出を決めた。

浅田はSP「アイガット・リズム」で、今季の女子最高スコアを叩き出した。長年彼女を見守ってきた振付師ローリー・ニコルが、夏の間一時スランプに陥った浅田に「人生とスケートを楽しむ心を、もう一度見つけて欲しい」と願って振付けたという肝いりの作品。浅田真央という選手の持つ愛らしさが存分に引き出された、さすが名匠ならではのプログラムである。

フリー「白鳥の湖」では、出だしのジャンプからいきなり2回転になるという不調な演技だったが、総合で逃げ切ってトップを保った。だが本人は少し固い表情でこうコメントした。

「今回の結果でファイナルにいけることは、すごく良かったです。でも今日のフリーでは練習してきたことが出せなかったので、すごく悔いが残っています。ファイナルの舞台のソチでは、今日のような失敗がないようにしっかりと練習をして、それをぶつけたいです」


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■ソチ五輪を目指すかは未定だが……滑りの質が上がった鈴木明子。

その浅田に総合で0.05差まで追い迫ったのは、SP5位だった鈴木だった。

フリーのシルク・ド・ソレイユ「O」は、最初から最後まで音楽の流れにのって、ジャンプもほぼノーミスの、素晴らしい演技だった。

「自分の最低ラインが上がったと思っています。これからもっとステップアップしていける。良い経験になりました」

以前から音楽性の高さは定評があった鈴木だが、今季からさらにスケーティングの質が向上し、より滑りが滑らかになった。この夏、デトロイトでアイスダンスのスケーティングコーチの指導を受けてきたのだという。

「その先生のレッスンを受けたら、エッジがつかめたというか、乗る一点のポイントがつかめた気がした。日本に帰ったら、先生たちにもスケーティングが変わったねと言われました」

今シーズン中に、おそらく5コンポーネンツが8点台に到達するだろう。

ソチ五輪を目指すかどうかはまだ決めていないという彼女だが、GPファイナルで五輪会場に行って気持ちが前向きに盛り上がってくれることを願いたい。


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■特に男子は、まったく予想不可能なGPファイナル

12月6日からのGPファイナルでは、日本男子4人は世界王者のパトリック・チャン、そしてNHK杯では4位に終ったハビエル・フェルナンデスと戦うことになる。

今季のGP6大会では2連勝した男子がおらず、6戦とも違う選手が優勝するという興味深い展開となった。それだけ実力が競っている選手が揃っているということであり、シーズン後半に向けてもどんなことが起きるかは予想がつかない。過去の実績にかかわらず、本番でやることをやったものが勝つ。意外なサプライズもありかもしれない。

一方女子では、浅田と鈴木の最大のライバルは、浅田と同じく2戦優勝でファイナルに進出した米国のアシュリー・ワグナーになるだろう。このところジャンプの失敗がほとんどなく、驚くほど安定した演技を見せている。この3人が表彰台に立つことが予想されるが、ロシアの新星、ユリア・リピニツカヤも油断のできない相手である。

いよいよソチ五輪会場でGPファイナルが開催される。選手たちだけでなく、見ている私たちもいち早く五輪の空気を感じることができる興味深い大会になることだろう。

(2012.11.27 ナンバーウェブ)


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*文中の下線は管理人による

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